『アジズ本などの基礎知識が必要』
覚醒者フーマン(故人)と、質問者キヨタカの数回に渡る個人面談を再現した本書。
気弱でスケベで真面目な質問者に、すべてを見抜く師が、神秘の教えから性やネット掲示板の悩みまで愛情深く答え、励まし導くと掛け合いが、深遠な話題も少し身近に感じさせてくれます。性などプライバシーをさらけ出した質問者の勇気も素晴らしい。
覚醒への道のりを、相手にあわせて説くフーマンのよさがわかります。やさしく力強く語られる言葉の一つ一つに、素晴らしい本質の香りが漂います。
ただ書籍としては、問題もあります。まずプレゼンスやビーイング、I AMなど、教えの基礎となる概念の理解がないと、何の話か分からないことが多い点。次に、一般論とキヨタカ氏だけの個別の指導の区別がつきにくい点。終り方もやや中途半端な印象を受けます。
この面談の当時、自らもマスターであるアジズの推薦を得た者だけ、フーマンの指導を受けられるようでした。フーマンの話は簡潔でわかりやすく感じますが、それだけ誤解されたり理解されないことが多いということでしょう。直接指導を受けられた人はともかく、本を通じて自分で歩む人にとっては、なかなか理解できない部分も多いかと。
その人に合わせた処方箋がフーマンの真骨頂であって、他人の処方箋を読んでそれをどう活かせるか、難しいところだと思います。どの教えも、その自分への当てはめで、皆つまずくわけですから。
この本で何か新しいことを学ぶというよりも、精神的な道を進むにあたり、基本を忠実に守ってきたが行き詰っている人にお勧めしたいです。自分の道でいいんだという、勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
また、フーマンの視点から、人を教え導く際の愛情とか、忍耐とか、先を見通し本質を見抜く目などは圧倒的で、参考になることもあるかと思います。相手を理解し信頼関係を築いて行くことの大切さを示す一例として、何かヒントが得られるかもしれません。