『意外と!!おすすめ』
ぼくの「いつか読みたい本リスト」の中の一冊に「ユリシーズ」がありますが、ジョイス作品と聞くとなんとなく難解なイメージがあって、ついつい尻込みしています。そんな時、本屋さんで目に付いたのがこの新訳「ダブリナーズ」。装丁もよく、訳者もジョイス研究の第一人者の柳瀬氏ということで、手に取りました。短編集というとヘミングウェイ、カーヴァー、フィッツジェラルドなどアメリカ人作家のものを読む事が多く、どうかなと思っていましたが、読んでみるとアイルランド・ダブリンの固有の雰囲気が伝わってきて引き込まれました。話はそれぞれ独立していますが、語られるトーンや状況に統一感があるので、連作小説のような趣もあります。普通に読むぶんには全く難解さも感じず、楽しめましたが、訳者のあとがきを読むと、さすがにジョイス!いろいろ凝っているんですね。さあ、柳瀬先生、「ユリシーズ」の完訳お待ちしています。