『科学で紐解く教育のあり方』
脳はその複雑かつ神秘的な構造で私達を魅了するが、著書は更に先をいく脳科学と教育を結びつけた数々の研究について分析されていて大変興味深い。
キーワードのひとつは脳の臨界期。
その期間でしか学習できないという学習可能な期間を臨界期というらしい。つまり臨界期から離れた時期に学習しても学習の意味をもたないのだ。これらの臨界期や感受性期の研究が進めば、早期教育の是非や過保護・過干渉の影響や心理的な理論の形成時期、知能を育む有効な時期、更には脳卒中などのリハビリの有効な時期までもが分かるかもしれないというのである。これらが分かればその時期に適切な教育やアプローチができるのか、と考えると驚きと結果を待ち望む気持ちでいっぱいになる。
最新の「脳科学と教育」に関する研究が分かりやすくたくさん紹介されているだけではなく、謙虚で情熱的な研究者である著者に共感を覚える内容である。
教育やリハビリなどのプロはもちろん、親という立場なら興味深く読めると感じる。