『決して大作ではないが、ココロに染みる傑作です。』
四国のお遍路八十八か所を通じて、様々な人間模様が交錯する本作は、アミューズ２５周年記念作品にふさわしい出来栄えだ。語り部を主演の村川絵梨ではなく、ＴＶディレクター役の須藤理彩にしたのもよかった。白血病で死と向き合う明日香の行動が、売れない芸人や逃亡者までの心を変えていくストーリーは見事であり、これが「Ｖマドンナ大戦争」の監督作とは思えないぞ（笑）。撮影監督も名匠・高間賢治が務めており、四国巡礼の神聖さを鮮やかに表現していた。全体的に古き良き活動写真のイメージがあるのだ。映画には「マジック」がかかることがあるが、まさしく本作にもそれが当てはまっていた。母親との再会はちょっとムチャ振りかな、と思っていたら、最後の大団円にはめ込んでくるし。「セカチュー」が涙・涙の作風だとすれば（同じ四国だからね）、本作は爽快な感動を呼ぶ作風といっていい。さすがアミューズらしく、俳優陣も豪華だった。村川は今日でこそ第一級の女優だが、当時はまだ「抜擢」の意味合いが強かった。「セカチュー」の長澤ともども、四国は成功を掴める土地なのかもしれない（笑）。決して大作ではないが、ココロに染み入る傑作である。文句なく星５つ。