『本当の数学とはなんだろうか、ちょっと知りたいところですね。』
数学は学校では主要科目(?)だし、社会ではさまざまに利用されているので、入門書、
教科書、そして専門書がたくさん存在する。
本書は、こうした観点からではなく、数学には、人間発生以来、「豊かで柔らかな人間
精神の躍動があり」、それゆえに学ぶ楽しみがある、という観点から、数学とは何なの
かをしり、数学の楽しさを味わえるようにと願って書かれたものである。
1.「数の変遷」では、数の誕生と分数、小数について話され、2.では量と数が、
3.では数の演算が、4.では実数から極限へ、5.では級数、6.では変数と関数が、
さいごの7.で微分と積分が扱われる。
全体にやさしく丁寧に解説されるので、中学生なら十分に読めるだろう。
分数がなぜ、消えてしまったのか。
数と量はどう違うのか。
実数はどこまで続き、最後はどうなるのか。
など、など、ふだん抱かれる疑問がていねいに検討されている。
実数が続く先の先、ここから無限とか、無限小の概念がうまれ、そこから微分積分学が
生まれたことが語られる。
続巻も含め、本書をゆっくりと味わいながら読むことで、いま中学校で学んでいる数学
の本当の意味がわかるようになってくる。